経営改善のポイント~第8ステップ
金融機関への協力依頼方法

このステップでは、
金融機関と交渉するための姿勢や方法
について学びます。

『実務テキスト』ではまず、金融機関との交渉の姿勢について言及しています。

 その基本的な交渉のスタンスは、
「返さない」と「返せない」の違いを明確にしておくことです。

「返さない」のは善悪や商道徳の問題ですが、「返せない」のはビジネスの問題です。ですから、罪悪感を持たないことが重要です。もちろん、返せなければビジネス上の約束違反ですので、放っておけば担保の競売や連帯保証人への請求という事態になりますが、条件変更や繰り延べの交渉は可能です。
 また、「返せないから商工ローンや街金融から借りてきて金融機関の返済に充てる」などの行為をすることは、責任感ある経営者のすべきことではありません。無知なだけだと言わざるを得ません。

 資金繰りに困った時は、「負の連鎖」のような資金導入をしてはいけないのです。それなのに、ほとんどの経営者は、個人のお金を投入したり、自社より立場の低い仕入業者の支払いを遅らせてしまいます。
 これが最大の間違いです。根本的な経営そのものが何も変わっていないのに、問題を先送りすれば、どんどん「負の連鎖」の深みにはまってしまうだけです。

 望ましい方法は、早い段階で金融機関に「今の状態では約定どおりに返済できない」と相談を持ちかけ、金融機関への返済をストップすることです。そうすれば、金融機関からすぐに「事業計画と返済計画を出してください」と迫られるでしょう。
 実はこう言われること自体が、小規模企業経営者に危機感をもたらし、経営再建対策に乗り出すきっかけとなる「最善の薬」なのです。

見栄やプライドを捨てて粘り強く交渉を

 経営難時期の金融機関との交渉はほとんどの場合、「約定変更」のための交渉ですので、金融機関がすんなりと変更条件を飲んでくれることは稀です。それを実現するためには、お願いするのではなく、「こうすれば絶対に経営改善できる」ということを「経営改善計画書」で示し、熱意を持って訴えることが大切です。
 金融機関の担当者に決裁権限がないといっても、相手も人間です。キレることなく熱意を持って交渉すれば、本部や支店長に対する報告書や上申書の書き方も違ってきます。

 井上経営研究所のクライアントの例を見ると、一番いいのは【疑問文で交渉する】ことです。これは営業セールスの基本でもある手法です。
「どういう方法がありますか?」
「これに関して何かいい方法はありませんか?」
などの聞き方は聞かれたほうの気分が良いため、あなたの味方になってくれる可能性が非常に強いのです。

 これらのスタンスは、他の取引先と交渉する姿勢とまったく同じです。多くの小規模企業経営者は、金融機関を特別な取引先と考えすぎています。金融交渉はあくまでビジネスの一環であり、「お上」に対するお願いではないことを肝に銘じてください。

 なお、『実務テキスト』では、新しい担保や連帯保証人の要請対応についても解説しています。

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